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なんか呻き声が聞こえた。それは性格を言い当てられたが故なのか、それとも思わず釘を刺されたが故なのか。まあ、俺にはどっちでもいい事だった。
「次、勉強運。ああ……諦めてくれ。ぶっちゃけ無理だ」
「まさかの酷評!?」
だってそういう結果が出ちゃったんだもん、仕方ないよね。
「それから恋愛運――もドンマイだなこりゃ。救いようがない」
「ちょっと待てよおおおおおおおおっ!」
剛は悲壮感たっぷりに、そう叫んだ。
その日はそれにて終了。そのまますぐに解散だ。
愛実と昇降口を出て、校門に差し掛かった辺りで、不意に声が掛かった。
「あれーお兄ちゃんも今帰り?凄い偶然だねー」
はいダウトー。とは、まあ、思っても口にはしない方がいいだろうなあ。
不自然なまでに自然な偶然を装えるお前の方が余程凄いと思うぞ、我が妹よ。でもまあ、来ちゃったものは仕方ないよな。
「そうだな。じゃあ一緒に帰るか」
一瞬、隣の愛実が嫌そうな顔をしたのは俺の気の所為だろう。
で、右に愛実、左に鈴莉を侍らせ、両手に花な俺。周りの視線を絶賛買い取り中だ。主に嫉妬や怨念の籠ったやつ。つーか押し売られてる。
正直なところ頭痛い。愛実は幼馴染で、鈴莉は妹。別にリア充ひゃっはーしてる訳でもないし、むやみやたらと目の敵にされる言われはないのだが。
まあ、今更口に出してどうにかなる問題でもない。それに、俺自身が慣れてしまったというのもある。あ、この視線にだよ?両手に花の事を言ってる訳じゃないよ?小学校の頃から続けばさすがになれるだろ、ってだけの話だよ?
で、それだけならまだいい。昔は、まだ良かった方だ。
「てかお兄ちゃんから離れてください愛実さん!」
「それはこっちの台詞だよ妹ちゃん!」
いつからか、この二人、仲が物凄く険悪になっていた。昔はよく三人で遊んでた記憶すらあるのだが、一体どういう心変わり――豹変っぷりだろうか。
がるるると、牙剥き出し敵意剥き出しで、互いに威嚇牽制し合う二人。なんかもう息ぴったりだった。実は仲良いだろお前ら。
全く同じタイミングで唸り、睨み、呻く。んでもって、俺に抱き付く。つかしがみ付く。やめい、歩きづらいだろうが。それにこんな人の行き交う往来で、はしたない事をするんじゃない。ほらーすっげえ奇々の目で見られてるし。あと嫉み。
それから鈴莉、胸をふにふにと押し付けるんじゃない。柔らかいだろうが!
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