泥沼姉弟

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『お姉ちゃんっ、彼氏さんが出ていくの見たんだけど、追いかけた方がいいんじゃない!?』 彼の提案はこうだ。 俺が外に逃げたことにして、棗の姉である栞を外に追い出し、俺を捜している間に本当に外出してしまおう、ということだった。 栞は計画通り出ていった。 さて、次は俺達が逃げる番だ。 栞を監視するためにも棗は今外に居る。 ケータイが鳴った。メールだった。 [お姉ちゃんが敷地外に出たよ。勝手口から出て] 指示通りにすると、棗が待っていた。 「今なら絶対大丈夫!ほら、行くよ!!」 栞には申し訳なかったが、棗について行った。 棗は楽しそうだった。 栞は絶対怒っている。 俺が初めから棗に告白していれば、栞が辛い思いをしなくて済んだのに。 俺を追ってくれている栞が少しだけ愛しく思えた。 Fin
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