懐かしのパン屋さん

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聞き方が悪かった…! 「あ、いえ…そういうわけじゃなくて…!」 「うん」 お兄さんはその言葉の続きを待っているようだった。 「あ…あの、失礼ですけど、今32歳…くらいですか?」 「…!ほんとどうしたの?急に…」 いつもの笑顔を装っているが、お兄さんは動揺を隠せていない。 やっぱりお兄さんは… 「俺、ちゃんと働いて、おまけしてもらった分のお金返します!」 「…覚えててくれたんだね」 お兄さんは控え目に一番の笑顔で言った。 「長くても二週間に一回は顔を出してくれてたのに、急に来てくれなくなったから、何かあったのかとかすごく心配したんだよ?」 「すみません…その時期辺りで両親が離婚して…」 「そうだったんだね。でもよかった、この店続けてて…。また会えた」 頭を優しく撫でられて、また昔を思い出した。 「お金は払わなくていいよ。そのかわり売れ残ったパンが毎日食卓に出るから覚悟しておいてね」 笑顔で溢れるこのお店は、俺の大切な懐かしのパン屋さんだ。 end
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