聖夜

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「シオ、こっちにまわして」 「ん、はい、恭」 天辺からLEDのライトをぐるぐると巻きつけて、 キラキラ光るオーナメントを沢山付けて、出来ていくクリスマスツリー。 一番天辺にはお約束のお星様。 それだけはどうしても付けたくて手を伸ばす。 あと少し、もう少しで―― 「――あっ」 「シオ!」 伸ばしたつま先は梯子から滑り落ち、重力に引かれる体。 床に落ちるはずの身体は―― 「……だから言ったのに」 恭の腕の中に。 「ごめん」 そう言いながら詩織は上を見上げる。 「でも、みて!」 ツリーの天辺にはキラキラ光るお星様。 「出来たね」 そう言って笑う詩織。 だから、恭も仕方なく笑みを浮かべて 「そうだね」 と言ってツリーを見上げた。
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