聖夜

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「お待たせ」 そう言って天使の人形が取り付けられた車に乗り込む。 「で、どこ行きたいの?」 美紀の声に「うーん」と唸って、 「やっぱりエルメス、かな?」 なんて声に「はいはい」と返して美紀は運転手に指示を出した。 店先に車を着ければ、外からドアは開けられる。 「糸井様、大河内様ようこそいらっしゃいました」 どう見て詩織や美紀よりも20以上年上の店員が恭しく頭を下げる。 けれどこれがいつもの光景で、二人は勧められるまま店内に足を運んだ。 「今日はどういったものをお探しで?」 少し若い女性店員の声に詩織は店内を見渡しながら「あのね」と説明を。 「キーホルダーが欲しいの」 「キーホルダー、ですか?」 繰り返すその声に詩織は「そう」と首を振る。 「鍵が付けれるなら何でもいいんだけど……、あっ! 兄にプレゼントだから男性モノをね」 「それではこちらはどうでしょう?」 引き出しから出されたのはキーケース。 「こちらはコインケースとお揃いもございますし、なんでしたらネクタイも」 「そんなに歳じゃないってば」と言いながら唸る詩織を横目に美紀は店内を物色中。 「あ、このバッグ見せて」 「かしこまりました」 なんて声が店内で繰り返された。
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