聖夜

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23日は祝日で、勿論学校もおやすみ。 「どうせなら、庭にあるもみの木も飾ればよかったね」 だからまったりとリビングのツリーを見ながらココアを飲む詩織に恭は苦笑い。 「玄さんが怒っちゃうよ。『木が傷む』って。このツリーだってクリスマスだから仕方なく用意してくれたのに」 玄さんというのは大河内家の筆頭庭師。 「でも、街中だって綺麗にイルミされてるし、それが部屋の窓から見えたら素敵じゃない?」 彼女はどこまで行ってもお嬢様。 テレビで見たイルミネーションを『見に行きたい』ではなくて、目の前に再現させようとする。 勿論、それを可能に出来る財力もあるのだが。 それには賛同できなくて、恭は苦笑したまま提案を。 「明日は学校も半日で終わるし、見に行こうか」 「何を?」 「イルミネーション」 その声に、 「――うんっ!」 詩織は大きく頷いた。
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