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「次私? メイス・ドラグーンって言います。知り合いからは聖女って言われてるけどなんか役職みたいなものなんであまり気にしないでください!」
今度こそまともそうな少女だ。赤い長い髪に青い瞳を持ち、可愛らしい顔立ちをしている。まあフレイのようなのもいるから侮れないが。市川妙は「メイスちゃんは実は一番最初のヒロインなんですよ」と言い、「つまり、ここにいるみなさんの原型なわけです! ヒロインの基準なわけです!」と声を張り上げる。
「ええと……確かにそうかもしれないけど。それって……それって私に個性があまりないってことだよね!?」
いえそういうわけではありませんが、と市川妙は否定したが「いいや! 私の影が薄いのは事実だよ!」と叫ぶ。それを聞いた市川妙以外の全員が「またややこしい人かー」と思考を一致させたようだった。
「サブキャラに出番を取られ! 主人公が空気化し私も同時に空気化していったわ!」
「ああ、メイスちゃんメイスちゃん、原典の話はそれくらいで」
「……うん……だから、だからね! 私キャラを濃くしたいの! ぶっちゃけ妙ちゃんの位置が羨ましい!」
「この位置結構大変ですよ?」
だろうな、とアレスタントが妙に同意した。「妙以外にできるとも思えん」と彼女を見据えるアレスタントに、妙は「おお、なんか知らないけどアレスタントさんがデレた!」と声をあげる。
「……本音を言っているだけだ、妙以外だと余計グダグダになりそうでな」
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