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「相模小雪。……慣れていないというわけではなく、人数が多いから私がしゃべらなくてもいいと思った結果」
白い長い髪に蒼い瞳をした少女は無表情に発言する。それを聞いた妙は「それはいけません!」と声をあげた。
「しゃべらなければいないことにされますよ! 存在を忘れられますよ! いいんですか!」
彼女のそんな言葉に、ゆっくり何かを考えながら手をあげたのは淡い金髪に赤い瞳をした、おっとりとした性格が表情からにじみ出ている少女だった。
「ええと、アリア・ルビズリーといいます。先生はいないんですかー? あと、ヒロイン力ってなんですかねー?」
アリアの言葉に市川妙は今までと同じ笑顔で、それはですね、と人差し指を上に向ける。
「先生に関しては【女の子の会話を邪魔するわけには行きません!】とみんなの自己紹介が終わったあとに出てくると言っていました。困った人です、おかげで私が一人で進行する羽目になってしまいました。ちなみにヒロイン力とは所謂、ヒーローや読者さんに好かれるあざとい力のことです!」
「あざとい力って……ああ、ポン太ちゃんみたいな? あ、浅見由真です」
浅見由真と名乗ったのは茶色いショートヘアの少女。横髪をヘアピンで留めており、背丈は小柄だ。「ポン太はあざとくないポン!」とそれに反応したのは緑髪をポニーテールにした、赤い瞳の少女。
「あざとい」
「あざとい、さすが狸あざとい」
全員が一致したところで、ポン太はポンっと音を立てて狸の姿になる。
「そう! このようなあざとい可愛らしさが私達に必要なのです! 昨今のヒロインは皆あざとい!」
「いや、偏見だからねそれ……」
そう小さく呟いたのは山吹色のポニーテールに、黒と赤のオッドアイを持つ女性。それに気づいた市川妙は笑みを浮かべ、彼女の机の前へと向かう。
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