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「神楽木朱音ちゃん! もっと大きな声でツッコミをしたくありませんか? さっきからツッコミしたくてウズウズしてるでしょう!」
神楽木朱音(かぐらぎ あかね)と呼ばれた女性は明らかに焦ったような顔をして「え、いや、私は――」としどろもどろになる。
「フレイちゃんの時から地味にボソッと言ってたじゃないですか!」
「そ、それは性というか……とにかく、私はツッコミなんてできないし」
そうですか、と市川妙は納得したように相槌を打ち、「ということは朱音ちゃんはツッコミ見習いなんですね!」と笑顔を彼女に向けた。一瞬空気が凍ったような感覚が教室内を支配した。
「ちょっとやめてよそういうの! だいたいさっきから何!? ほとんどが【よくよく考えたら】の焼き直しみたいな感じじゃないの! ネタに新鮮味がないのよ!」
「えー、じゃあどういうネタがいいの?」
怒鳴る神楽木に、妙はぶーぶーと文句を言う。
「ラブコメをしましょう! 今からでも遅くないわ!」
妙はその発言に笑い、「この話はそのための前段階なのですよ朱音ちゃん。キャラを把握してもらうためにはこうするしかなかったのです!」と宣言した。
「いやそのキャラ把握を最初の一話で一気にやるからわけがわからなくなるんでしょうが!! 【よくよく考えたら】で学んだんじゃなかったの!?」
「学んでなかったんですよ。あと、ツッコんでるじゃないですか」
しれっとそう言う妙に、「これはツッコミって言えるのか……?」とアレスタントが一人ため息を吐き、それに団長が「いいのよ、低レベルなんだから」と答えてから伸びをする。
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