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「向上心のない作品は作品とは言えないのです」
長い黒髪が揺れる。笑みを浮かべ、優雅に立ち上がった彼女を見て妙は「いいえ! 低レベルでも続けていければいいのです!」と返す。
「ええ、それが貴方達の作品ですものね。存じております。ですが、私が出るからには【ハイクオリティ】な作品を目指していただかなくてはなりません。……私、小早川湊(こばやかわ みなと)と申します」
小早川湊と名乗った少女は泣きぼくろが印象的で、長い黒髪はどこからともなく吹いてきた風に揺らめく。
「でも小早川さんの出てる【悪徳部】、更新停滞してるじゃないですか。あとあのくだらない高校生日記がハイクオリティだとでも?」
横でぼそっとそう言ったのは小早川の左隣に座っていたこれまた黒髪に同色の瞳を持つ女性。どこからか【くだらないとは失礼な!】と男性の声が聞こえてきたが、スルーするのが得策である。
「高校生日記は認めるんだ……」
団長のつぶやきはスルーして、小早川に喧嘩をふっかけた女性はにこりと彼女に笑みを浮かべる。
「貴方の作品こそ低レベルでよくわからないホラー風脱出劇だったじゃないですか篠田るりかさん!」
「完結しているだけましよ!」
なんか話がよくわからない方向に転がりましたね、と妙。それを聞いた鈴蘭が「争いは同じレベルでしか起こりませんからね」と笑う。
「鈴蘭ちゃんの作品は非公開だけどね」
「言わないでよ!」
「もはやお家芸だよねえ、自虐」
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