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「ええと、あ、ユウイ・メシアズです。あの、属性って一体なんのこと――」
「ヒロイン養成学校に入っててそんなこともわからないんですの?」
赤髪に黄緑色の瞳をした女性――ユウイ・メシアズの発言を、彼女の隣に座っていた齢十六ほどに見える金髪に赤い瞳を持つ耳の長い女性が鼻で笑う。発言から態度まで、まるで高飛車お嬢様だ。
「ええと……そこの耳長い人、名前を教えてください! あ、私は市川妙(いちかわ たえ)です!」
バレッタ少女はにっこり笑いながら耳の長い人――もとい金髪の少女に指を差す。少女は憤慨し、つかつかとヒールを鳴らしながら教卓へ近づいた。
「エルフと言ってくださいな! これだから人間は……失礼ですわ!」
妙は笑いながら「えへへー、ごめんごめん」と謝っているようには見えない仕草をする。
「まあ、ユウイが無能なのは今に始まった事ではないが、さすがに一番最初の授業でやったことを忘れるのはな……」
そう言ったのはアレスタントだ。鋭い眼光がユウイを見据え、彼女は震え上がる。
「え? そんな授業やりましたっけ?」
言い出しっぺであるはずの市川妙も首を傾げ、「お前もか」とアレスタントは妙に視線を移した。
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