4人が本棚に入れています
本棚に追加
「ハーッハッハッハ!! そんなことも知らぬとは堕ちたな市川 妙! 我がライバルとしての誇りはどうした! このイツキ・リュードのライバルとしての誇りはァ!」
いきなりガラッと教室の扉が空いて赤髪のポニーテールに煌めかんばかりの翡翠の瞳をもったそこそこ端正な顔立ちをしている女子生徒が仁王立ちでポーズを決めながら高笑いをしている。
妙は少しだけ間を開けて首を傾げたあと、「いや貴方遅刻ですけど」と表情なく呟いた。イツキと名乗った赤毛ポニーテールの少女は「そんなことはどうでもいい!このヒロイン養成学校における属性の意味とは、いわゆるヒロイン自身の個性のことである!」と声をあげる。
「ああ、そういえば習いましたね!」
明るくそう声に出すユウイ・メシアズに、いつの間にか自分の席に戻っていたソアルが「思い出すのが遅いですわ」とため息を吐く。
「で、遅刻した理由は?」
「遅刻などしていない!」
「いや遅刻ですよ」
「……すみません寝坊しました」
「よろしい」
すっかり意気消沈してイツキは自分の席へとつく。そこで、市川妙は何かに気づいたようにキョロキョロと辺りを見回し始めた。
最初のコメントを投稿しよう!