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「若様」
「佐助?」
突如、屋根の上から声が聞こえてきた。
それから直ぐに現れたのは、一人の忍びだ。
左耳だけをかき上げた独特の髪型をした忍びの名は、猿飛佐助。
幸村直属の忍びである。
「どうかしましたか?」
「もうそろそろ会談が終わりそうなんでね。知らせに」
「そうですか、片倉殿」
「分かった」
小十郎は幸村の言葉に頷いた。
「若様も行ったほうがいいぜ」
「分かりました」
佐助の言葉に、幸村もまた頷いた。
「じゃ、俺はこれで」
佐助はそう言うと一瞬の内に消えていった。
嵐のようなさり方に小十郎は少しびっくりしている。
「真田、今の忍びは・・・」
「某の忍びで猿飛佐助っていいます。すみません、礼儀がなっていなくて」
「いや、気にしてない」
忍びの名前をあっさり教えていいのかと思ったが小十郎はそのことはあまり気にも止めなかった。
(忍びらしくないあの態度・・・気に入れねぇな)
「行きましょう。片倉殿」
色々考えていた小十郎だが、幸村の呼びかけによりその考えは中断された。
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