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「い、いえ。珍しい髪色だろ思いまして」
「あぁ、コレか」
政宗はそう言い、自分の髪を摘まみ上げた。
その時、若干目が細められた。
「不気味か?」
「え?」
「政宗様。身支度をしなくてはなりません。一度お部屋へ」
「あっ。あぁ、分かった」
小十郎に声をかけられ、慌てて頷く政宗。
案内するように小十郎は政宗の前を歩き始めた。
「それでは昌幸殿、また後で。じゃぁな真田」
政宗はそう言い、昌幸に頭を下げると部下を連れてその場を去っていった。
「父上。某は政宗殿の気に障ることを行ってしまったでしょうか?」
幸村はそう不安げに言った。
目は政宗が歩いて行った方を見ている。
「さぁな。ワシには独眼竜の心の内までは読めん。しかし、お前と同じ年で国主を名乗っているんじゃ。何もなかったことはないかもしれんの」
昌幸の言葉に何も言い出せない幸村。
沈黙だけが流れている。
「気になるなら、宴の時に話しかけてみるんじゃな。今の内に話しかけても損はない」
「父上、それはどういう・・・」
昌幸は幸村のその言葉に答えず無言で去っていった。
幸村は一人立ち尽くした。
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