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「政宗様。あまり自身を追い詰めないでください」
「あぁ?」
上田城にて、政宗に宛てがわれた客室にて小十郎は政宗の手伝いをしていた。
「なんのことだ?」
「真田幸村が、貴方の髪について言った時です。知らぬとは言わせなせんよ」
「仕方ねぇだろ。この髪はどこに行っても異質だ」
政宗のその表情は小十郎からは見て取れなかった。
政宗は何も内容に用意された羽織に腕を通している。
「日ノ本全ての者がそういう考えを持っているわけではありません。全てが“あの方”のようなことは致しません」
「小十郎。話が過ぎてるぜ」
「!・・・申し訳ありません」
政宗に指摘され、口を閉ざす小十郎。
部屋は静かになった。
(うわぁ・・・アレは確実に俺のこと気付いてるよな)
そう心の中で思ったのは、屋根裏に潜んでいた佐助だ。
佐助は独断で屋根裏からふたりの会話を盗み聞きしていた。
(それにしても“あの方”か。誰のことだ?伊達の縁者か誰かか?)
佐助は音も立てずその場から消えた。
「行ったか・・・」
そう呟いたのは一番早く気付いた政宗ではなく小十郎だ。
(真田の命令か、あるいはただの独断か。どちらにしろ警戒はしとかねーとな)
準備をしながら小十郎はそう思った。
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