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――なんだったんだ、今の。
「どうも、阿散井幽魚です」
何事もなかったかのようにお握りを口に入れ咀嚼する千鶴に、青い髪の女の子が言った。
「……眼帯ちゃん、君は」
「誰が眼帯ちゃんか」
青い髪の女の子、もとい眼帯ちゃん、もとい阿散井は千鶴の言葉を遮って言った。
青い髪に右目の眼帯が特徴の、赤い目をした女の子である。
「……奏塚レンって人、知ってるか」
千鶴は話題を切り出した。
奏塚レン(かねづか れん)とは。
第零学園、通称『聖杯(ザ・ゴブレット)』の生徒である。
仲間思いで人に優しく、チェスに封印された使い魔達を使って攻撃の補佐をさせる生徒である。
「……あの、水剣術の方ですよね」
阿散井はそう言った。
奏塚レンはそれだけでなく、水剣術を使う。
水剣術とは、水辺で使うことのできる剣の技。
それを使っているときは水中での呼吸が可能となる。
「ああ」
「その奏塚レンがどうしたのですか?」
阿散井は千鶴と目を合わせずに言った。
千鶴も阿散井と目を合わせようとせず、握った米を咀嚼している。
「いや、特に意味はない」
「なんですかそれ……」
意味がわからないという風に言う阿散井。
――瞬間。
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