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「スミマセン、体調は大丈夫になりました」 こんなに、心配してくれて なんてお礼をしたらいいのか… 「……みたいだね。安心したよ」 本当に安心したように目尻を下げて微笑んだ 手渡されたコンビニの袋には、また大量のSweetSが入っていて あたしも、つい笑ってしまう 「戸田さん、甘いの好きですか?」 「俺は、酒が好きだから甘いのはあんまり食べないんだけど、何がいいか分からなくて……」 やっぱり、迷って、アレもコレも買ってくれていたんですね 「‥‥‥ありがとうございます」 「じゃあ、帰るから。戸締りはちゃんとして、ね」 「‥‥クスッ‥先生みたい」 二人で笑いながら、戸田さんが玄関のドアを閉めようとした時 思い出したように、あたしを見た 「今週で、今年度の野球が終わるんだ。そうしたら時間を気にしないで出掛けられるから‥‥‥」 目を細め、何かまぶしいものを見るような目で 戸田さんの左手が、あたしの頬に伸びた 「‥‥‥どこかに、行かないか?」 トクン、トクン、 胸がざわついた 「‥‥はい‥野球頑張ってくださいね」 頬から手が離れ、ドアが閉まった
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