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頬に触れた戸田さんの手は冷たかった
近いとはいえ、寒い中歩いて来てくれたのが伝わり
手の冷たさと反比例して戸田さんの優しさを温かく嬉しく思った
右手に持っていた携帯電話が鳴る
大崎君に掛け直すと伝えていたんだ
着信は‥‥‥大崎君で‥
ああ‥‥また怒られる‥‥
先手必勝で謝ってしまおう
「待たせてごめんなさいっ」
『‥‥‥』
あれ?
怒りすぎて、言葉にならないのかな?
「今、帰ったよ。戸田さん。体調心配して、電話も出ないしって、近所だから、来てくれた‥‥」
『‥‥なんで、知ってるんだ?』
え?
なんで?って
『体調悪かったことも、お前の部屋も……なんで?』
声は、怒ってはいなかった
いなかったけど、すごく低く細い…
話せば駅で倒れた事を知られてしまう
出来たら、そんな恥ずかしい事は知られたくない
だけど、大崎君には
隠したらいけないような気がして
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