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「‥‥‥‥」 大崎君は‥‥‥眉間にシワを寄せて、黙っている この顔は、知っている 言いたい何かを、堪えている顔だ‥‥ 「‥‥帰るよ」 大きな手であたしの頭をポンポンして 背中を向けて玄関から出ていこうとする大崎君の服の裾を 思わずつかんでいた 頭だけ振り返り引っ張られた服を見て あたしの手を見つけると ちょっとだけ驚いたような、でも眉間にシワは残したまま 「‥‥どしたよ?」 大崎君が、あたしを見た ‥‥‥勇気は、ない あたしには、人の心に入っていく勇気は、まだない だから、どうして大崎君が言葉を飲み込むのか どんな言葉を飲み込んだのか 聞きたくても、知りたくても ‥‥‥勇気は出せない だけど、伝える事はしてもいいかな 今の、あたしの気持ちを
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