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「帰したく‥‥ない」
「………え………」
言いながら、気持ちがこみ上げてくる
大崎君を見ていることが出来ない
「今日はすごく楽しかったの‥嬉しかったの‥なのに‥今の大崎君、そんな顔して‥」
つかんだ服の裾を見ながら
声が震えているのを感じる
気持ちが溢れてくる
溢れた気持ちを抑えようとすると
瞼が熱くなってきて
「そんな顔したまま‥帰らないで」
涙が、こぼれた
いやだ‥あたし、泣きたいんじゃないのに
「‥‥‥」
もう、お手上げ
空気を悪くしてしまったのは、あたし
悪くしてしまった空気を、どうしたらいいか
必死に考えていると
服の裾をつかんだままのあたしの手をそっとはずし
あたしの方に向き直り
「‥‥‥ちょっと、だけ‥‥‥」
大崎君の腕に包まれた
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