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「‥ごめんって、言うなっ」 「‥‥ごめん‥‥」 何を言っていいやら、口から出るのは、同じ言葉で 「ほら、また‥‥」 ‥‥‥叱られた 「‥‥‥」 いつのまにか、大崎君の体はあたしから一歩分だけ 離れてしまっていた でも、あたしの左手の指先は 大崎君の右手の指先と繋がっている‥‥ 「‥‥‥謝るのは、俺」 指先だけ同じ体温を感じながら 「‥‥泣かせて、ごめん」 ごそごそと繋いでいない方の手で上着のポケットを探り 大崎君は小さな紙袋を取り出した 「引き止めてくれて、助かった。忘れてた」 繋いでいたあたしの左手に紙袋を乗せてくれる 「‥‥‥くれるの?」 「そう‥‥楽しかったから、ご褒美。」 帰っていく大崎君を見送って 袋を開けてみると 雑貨屋で大崎君が見つけたクリスタルのモチーフのイヤリングだった
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