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「一人で喫茶店でボーッと何考えてた?」 ボーッと‥‥してたように見えたのかな? 一生懸命考え事してたのに 「普通、本を読んだり雑誌みたりしてね?ボーッとしてたべ、大丈夫か?」 「…大丈夫だよっ」 並んで歩きながらも いつもより多い金曜の人並みに流されて 大崎君に置いていかれそうになる 「…ほれ」 大崎君の左手があたしの右手を捕まえる 「だっ…誰が見てるかわかんないよっ」 繋がれた右手を引っ込めようとしたけれど、大崎君に離す気はないらしく 慌てて周囲を見回してしまう 「‥ん?‥ま、そん時はそん時で」 あたしを振り返った大崎君の目は、いつもより優しく オンとオフが切り替わったんだなぁ、と感じた 「今日は何を食べに行くの?決まってる?」 「今日は、俺が決めちゃった」 引っ張られるように電車に乗り いつもの帰り方面の電車に揺られながら 大崎君が鞄からチケットを取り出した
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