57人が本棚に入れています
本棚に追加
『千草が嫌味な女ならともかく、やり返すじゃなく一人で抱え込んでるの見たら……ほっとけないでしょ』
「尚子、あん時誰かに喧嘩売ってたね…」
気が強い尚子は、講義室でグループの女子一人に
『不細工に生まれると心まで不細工になるのねぇ、哀れだわぁ』
と、背筋が凍りつきそうな事を言ってのけたのを思い出す
『あれくらい、千草が言ったって良かったのよ、すっきりしたわよぉ』
ケラケラ笑う尚子につられて
あたしまで笑っていた
笑って、泣いてた
『ねぇ、メガネ、はずせてるんじゃない?最近』
「大崎君の前では……はずせてる」
『大事にしなさいよ、今度の彼は』
尚子との電話を終え
眼鏡を見つめた
太めの黒ぶち眼鏡
すごく……ダサい
笑える程、ダサい
もう、四年も使ってきた
この眼鏡とちゃんとサヨナラ出来る日は…
来るのだろうか
最初のコメントを投稿しよう!