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気がつくと、アパートの前まで着いていて 腕時計を見ると11:15 あと15分 あたしに時間をちょうだい あたし、今、大崎君に 気持ちを伝えなきゃ 伝えたいって思っている 今、伝えたい 「『言いたいことやわかって欲しい事、黙っていたらダメ』って言ったでしょ」 向かい合ったまま 「ああ…言った」 手を離さないで 「『その先の関係、うまく作れない』って」 「……言った」 大崎君は、時間が気になるのか 歩いてきた道の方を見ている あと、少し あたしが勇気を出せば ……言える あたしが、好きなのは… 「あたし…あたしね…」 「……千草、わりぃ、部屋に入れ」 ………えっ!? 繋いだ手を見ていたあたしが 大崎君を見上げると 呆れたような怒ったような…あたしを叱っていた時より数倍怖い… その視線の先には 走ってきたのか 呼吸を乱したまま立って 同じように 大崎君を睨み付けている ………怖い顔の…戸田さんがいた
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