22/34

57人が本棚に入れています
本棚に追加
/231ページ
平気、だった 全く違和感なく、あたしでいられた 頷いたあたしを見て、大崎君は嬉しそうに笑った そして左手をあたしの髪に伸ばして あたしの顔に少しかかった髪をすくいながら 「じゃあ、次に会う時も、眼鏡はかけないでいられたらいいな」 優しい笑顔をくれた あたしは、大崎君の手の大きさを頭で感じていた 大崎君の車が走り去るのを見送り、部屋に戻ってから 自分の顔がポーッと火照っているのを感じた 鏡を見るとチークのせいではなく、顔が赤らんでいる 車の中が暗くて良かった こんな風に紅潮した顔を見られたら きっと、呆れられてしまう 『見境ないな、お前』 なんて言われてしまいそう トクン、トクン、トクン 心臓が、早いリズムを取っていた
/231ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加