976人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
正直な反応に顔が綻ぶ。
神無月が苦学生だと知っていた。
臨時収入は嬉しいだろうと思う。
そんな自分を恥じてか、視線が下がって、遠慮がちに聞いてくる。
「なんか、迷惑じゃない?」
落ちた。
めちゃくちゃに心臓が動く。
「いや。」
きっぱりといいながら、純粋な喜びが身体を駆け巡るのを感じた。
そして、自分がどれだけ神無月を求めていたか改めて思い知る。
俺のものだ。
そうしてみせる。
神無月を見つめながら手を差し出す。
「よろしく。」
おずおずと軽く触れて来た手は温かかった。
みっともなく手が震える。
離れて行くのが怖くて、しっかりとその手を握った。
温かい手がびくっと跳ねる。
「ハル。」
無意識に言ってどきりとする。
最初のコメントを投稿しよう!