図書室

14/18

976人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
ほんの少しかがめば、唇が触れる距離。 近い。 メガネの奥のダークチョコレート色の目が驚きに見開かれている。 微かに開いた唇。 呼んで欲しい。その唇で。 オレは震える声で懇願した。 「呼べよ。」 見つめあったままの数秒。焦げつくように欲望が高まる。神無月の唇が誘うように震える。 「は、ハル?」 柔らかい声が俺を呼んで、恥ずかしそうに目を伏せる。 ドンと心臓に何か叩きつけられたみたいに身体が震える。短い息が漏れて、くらっとめまいがした。 神無月の俺を呼ぶ声が、焼き印を押したように身体に食い込む。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

976人が本棚に入れています
本棚に追加