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焦っていると思う。
諦めようと何度も思った。
でも、その度に一度だけ交わした言葉が、向けられた微笑みが浮かんで心を焦がす。
花が咲くように微笑った。
それだけで、神無月七重は俺の世界の中心になってしまった。
いくら諦める理由を思い浮かべても、それを上回る愛しさがすべてを消してしまう。
土御門の家の血なのかとも思う。このちょっと変わった茶色の目や髪の毛はハーフだった祖母方から受け継いだものだ。
祖母自体は黒髪黒目で見た目は日本人だったみたいだけど、当時の日本では浮いた存在だったのは確かで、華族の血筋で当時から富豪だった祖父の相手としては、全く認められなかった。
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