初デート【奈々視点】

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「着いたよ」 「……ここですか?」 私が聞いたのには2つの理由があった。 1つ目は… 着いた場所が、近くのショッピングモールだったこと 2つ目は… ここは、ホテルのとなりに設立されているということ 私としては、普通に遊園地とかかなぁと、思っていた。 まあ、これでは本当のデートみたいだが。 しかし、回りを見渡しても、いるのはカップルばかりだ。 私も回りからはそんな風に見られてるのかと思うと、恥ずかしい。 そんなつもりはないのに。 私の気持ちに気づかないのか、堂上さんは中に入っていってしまった。 仕方なく、私はついていった。 着いた場所は・・・ あれっ? 映画館だ… なんだ、普通じゃん。 心配した私がばかみたい。 で、何見るのかなあ。 「あの、堂上さん、何見るんですか?」 「呼び方、戻ってる。 ちゃんと言ったら、教えてあげるよ。」 「あ、あ、篤志、何見るんですか?」 「んー、ほんとは△だなあ、敬語だから。 ま、しょうがないから今回は許すとしよう。 えっと、見るのは 初恋物語だよ。」 私は、ぎくりと固まってしまった。 ――――――初恋物語 まるで、私のことみたいだ。 フリーズしている私をよそに、堂上さんはチケットを買い始めている。 まって、ほんとにこれ見るの? ってか、堂上さんチケット買って、こっち来てるし。 しょ、しょうがない。 見るか。。。 「はい、どうぞ。」 渡されたチケットに書いてある番号は、 スクリーン6のG―13 だ。 これは・・・ ど真ん中ではなかろうか。 しかも、あたりまえだけど、のぞいた堂上さんのチケットは、 スクリーン6のG―14 隣だ。 あたりまえっちゃ、あたりまえなんだけど。 もう、上演時刻まで10分を切っているから、中に入らないとな。 せめて、飲み物買ってこうと。 いろいろ考えていると、 「はい、ジュース。 カルピスでよかった? なんか、すんごい考え込んでたからさ。」 「あ、ありがとうございます。」 あちゃー、買ってきてもらっちゃった。 そういえばチケットもだし、悪いなあ。 「あの、お金…」 「いいよ、いいよ、これくらい。 俺が好きでやってることだし。 とりあえず、なか入ろ!」 そうして、私たちは、中に入っていった。
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