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「こんにちは。堂上篤志です。大学三年で、法学部です。
今日一日よろしくお願いします。
何でも聞いてください。」
パチパチパチ・・・
「へー、結構かっこいいじゃん。」
「奈々はこういうのがタイプなんだ。」
「そゆうんじゃないもん。」
「そんな、見栄張らなくていいんだよ。」
「見栄じゃないっ!!!」
「これから1通り案内したら、2時間の自由行動です。
きちんと付いてきてください。
広いから迷子にならないようにね。」
*
「では、これから自由行動です。
今日は、この時間帯はサークル活動をしてもらっています。
15時になったら、またここに集合してください。」
自由行動の時間になった。
「麻子、どこいっこっか?」
「うーんとね、あたしは空手部行きたい。
たぶんあると思うんだ。」
「えー、じゃあ、私は違うとこ見てきてもいい?
空手にいい思い出がなさ過ぎて…」
「いいよー。じゃあ、30分後にここ集合ね。」
「わかったー。
またあとでね。」
*
はー、1人になっちゃた。
前に麻子と空手部見に行ったとき、勧誘されて大変だったんだよなあ。
どうやって暇つぶそうかな。
1人でぶらぶら歩いていたら、不意に手首をつかまれた。
そして、気づくと校舎と校舎の間の壁に押し付けられていた。
目の前にあるきれいな顔は…
堂上さんっっっ!
きれいな顔だなあ。
じゃなくて、どうしてこんなことに???
*
「……集合してください。」
ふー、説明終わった。
そういえば、さっきかわいい子いたな。
あれっ?友達と分かれて1人になった。
今がチャンスだ!
手首をつかみ、壁に押し付けた。
やっぱり近くで見てもかわいいなあ。
「お名前は?」
*
「お名前は?」
えっ、どういうこと?
突然のことに戸惑っていると、また堂上さんが聞いてきた。
「お名前は?」
「か…笠原郁ですっ!」
あっ、答えてしまった。
「ふうん、いい名前だねえ。
彼氏はいるの?」
「いませんけど。」
「ならいいよね。」
―――チュッ―――
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