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「麻子、ちょっと聞いてもらっていい?」
「うん?どうしたの?」
「それがね…」
「こうゆうことがさっきあって、堂上さんにメアド教えちゃったのー。」
「そっ、そっかぁ。
でもさ、堂上さん、そこまで悪い人には見えなかったけどな。
だから、いっそ試しに付き合ってみたら?」
「そうかなあ。」
「そうだよ!
何かあったら、逃げればいいんだし。」
「わかった。
なんか、元気出てきたかも。
麻子に相談してよかった。
ありがと。」
「いいえ。
じゃあ、残り時間も少ないし、行ってみよっか。」
「うん!!」
*
15時ぴったり。
私たちは全員で、最初の場所に集合していた。
先生が、話し出す。
「みんな、よく見て回ったか?
貴重な機会だったからな。
これを機に、明日からまた、受験勉強に励むこと。
じゃあ、最後に堂上さんにみんなで、お礼を言おうか。
ありがとうございました。」
「「「「「ありがとうございました。」」」」」
「どういたしまして。
今日を楽しんでもらえていたら、うれしいです。
誰かが、この大学に入ってくれるのを待っています。
では、また今度会えれば会いましょう。」
「本当に、ありがとうございました。
じゃあ、みんなバスに乗れー。」
私たちがバスに乗って出発するまで、ずっと堂上さんは手を振りながら、こちらを見ていた。
私に笑いかけていたのは、気のせいだったと思う。
とにかく、長い1日がやっと終わったのだった。
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