第二章 感じた違和感

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「そうだ。その昔江戸を股に掛けた盗賊の頭目だ。どういうわけか姿を見かけられておる」 「しかしなぜ?風魔はとうの昔に死んだはず」 「確かに。風魔一族はもともと足柄山中を縄張りとする忍者集団だった。その後時代の流れに翻弄されながらその血を受け継ぐも、我ら徳川が天下を統一してからはその身体能力や技術を悪用し盗賊へと成り下がり、今は亡き東照神君(徳川家康)によって捕らえ処刑された。しかし奴らの身体能力や技術は伊賀や甲賀のそれと引けをとらん。甲州街道の大月付近で観察方をしていた御庭番が、山中を凄まじい勢いで駆ける黒く怪しい影を見つけ、すぐ後を追ったがあっという間に見失ったとのこと。その時の御庭番が見たという風貌や行動から考えると思い当たるのは風魔だけだ」 それを聞いた小見は察しがついた。 「この降り止まぬ長雨と風魔・・・もしや闇鬼(くろ)が絡んでいると」
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