第二章 感じた違和感

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「やっぱりあんたいい男だねえ惚れ惚れするよ」 小見は斜に身構えながらお駒の話を聞いていた。 「考え事なんて嘘なんだろう、すぐわかるよ。顔に書いてあるからさ。退屈しのぎに遊びに来ましたってね」 そう言われた小見は思わず自分の顔を手で触った。 「ふふっ、あんた面白い人だね」 からかわれた事に気づいた小見は少し気を悪くし、一つ咳払いをしながら体の向きを卓の方に向き直した。その姿を見たお駒はさらに続けた。 「あらやだ、怒らしちまったかね。でも怒ったその顔もまたかわいいねえ」 そう言って小見を冷やかすお駒のところへお駒より年上と思われる一人の女従業員が頼んでいた定食を運んできた。 「はい、お待ちどうさま。お駒さん、その辺にしときなよ。お客さんが困ってるだろ」 女従業員はそう言ってお駒を諭した。 「ふん、つまんないの。この雨の中せっかくいい男を捕まえたと思ったのに」 「まったく何考えてるんだいこの子は・・・」
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