第二章 感じた違和感

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年上の女従業員に水を差されたお駒だったが、小見のそばを離れようとはせず話題を変えて話してきた。 「それにしてもよく降る雨だね。そういえば今朝、下総国の佐倉に住む知り合いから文が届いてね。向こうはこっちと違ってずっと日照りが続いているらしく干ばつが心配だって書いてあったよ。本当に不思議だよね。江戸ではもう十日以上雨が降り続いているって言うのにね」 お駒の話に耳を貸さないように黙々と飯を食べ始めた。すると、お駒がまた話題を変えてきた。 「ところで新大橋の欄干が一部崩落して人が流されたって話聞いた?」 それを聞いた小見は思わず箸を止めた。それを見たお駒が話を続ける。 「なんだい、この話には興味がありそうだね」 思わず図星を付かれた小見は仕方なくお駒のほうへ目をやりしばらく黙っていた。小見のことを察したお駒がしょうがないといいたげに自身の両肩を軽く動かした。 「あんた、本当に分かりやすい人だね」 そう言われた小見は慌ててお駒から目をそらした。だが、お駒は小見の素振りを気にすることなく話を始めた。
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