第二章 感じた違和感

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「おや、やっと口を開いてくれたね」 小見は思わずしまったという顔をした。お駒は話を続けた。 「だってそうだろう。大川に架かる橋は三つある。そのうち新大橋は真ん中に架かってるんだよ。上流からの鉄砲水なら先に被害が出るのは北側に架かる両国橋だと思うんだけどね。だけど、あそこはなんともないんだろう。それに大川の鉄砲水なら相当な勢いだろうから橋そのものが崩落したって不思議じゃない。なぜ欄干だけが崩落したんだい」 小見はハッとした。自分が違和感を感じていたのはまさにそのことだったからだ。残りの飯を慌ててかき込み席を立ってすぐに店を出た。その様子を見ていたお駒が言い放った。 「なんだいどうしたのさ急に慌てて。もう少しゆっくりしてってくれてもいいのに・・・」 (なぜそのことに気がつかなかったんだ) 小見はそう思いながら急ぎ源治の『屋敷』へと向かった。
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