第三章 濃霧の中の襲撃

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 源治の『屋敷』  小見はお駒の話を聞いてある仮説を立てながら源治の『屋敷』へとやって来た。 「おーい」 どこからか声が聞こえる。 「おーい。ここだ」 小見はやはり自分が呼ばれていると思い辺りを見渡した。 「上だ、上」 小見は声がするほうへ目をやると雨の中屋根の上にいるハチの姿が目に入った。小見が思わず話しかける。 「こんな雨の中、何をやってる?」 「見ての通り『屋敷』の屋根の補修さ。ここんところの長雨で『屋敷』のなかで雨漏りしだしてさ。まったく参ったね」 そんなハチを見て小見は思わず同情した。 「大変だな」 「本当だよ。昨夜も夜通し雨の中人探しをした後だって言うのに・・・まったく親分は人使いが荒いんだから」 そんな外の会話を『屋敷』の中で聞いていた源治がハチに対して怒鳴った。 「一言余計だ。ハチ!!」 ハチが驚いて思わず飛び上がった。それを見ていた小見は笑いながら『屋敷』の引き戸を開けた。 「おう、久しぶりだな小見」 源治が相変わらず威勢よく話かけてきた。
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