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町外れの小さな小屋
男が一人念を唱えている。しばらくして小屋の中にどこからともなく霧が立ちこめてきた。あっという間に霧は小屋中を覆い尽くし一寸先も見えない状態になった。男は念を唱えるのを止めると何かを呟いた。すると小屋中を覆い尽くしていた霧が一瞬にして晴れて行った。男がしばらく目を閉じ黙っている。しばらくするとどこから人の気配を感じた。
「久しぶりだな、紫陽」
「風魔か。摩利支天からの繋ぎを受けたか」
「ああ。お前から繋ぎをよこすとは珍しい」
「他でもない。吉宗を倒すべく差し向けた闇鬼(くろ)が何者かの手によって倒され封じられた。江戸において吉宗以外に闇鬼を見抜くことができる者はおらぬと思っておったが・・・。おそらく吉宗がどこからか呼び寄せた可能性がある」
「考えられるとすれば土御門家か・・・」
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