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「確かに朝廷に仕える土御門家であれば考えられなくもない。奴らは安倍晴明の血筋として陰陽師の流れを組む。奴らの陰陽術によって闇鬼を封じることは出来よう。しかし幕府と朝廷は今、改暦の権限を巡って争っておる。土御門家が幕府に力を貸すとは考えにくい。それにその者は闇鬼を倒すだけでなくその裏に潜む我らを警戒し普段から気配を悟られぬようにしている」
「では、その者が何者なのかをまず突き止めろということか」
「そうじゃ、闇の力を利用してでも吉宗を筆頭とする徳川家打倒は我が悲願。その野望を阻止すべく我らの前に立ちはだかる者は生かしておくわけにはいかぬ」
「なるほど。我ら風魔一族も徳川家によって断絶されたゆえ徳川家打倒は同意のところだ」
「そのためにも、まず相手を知る必要がある」
「よかろう、その役目俺が請け負おう」
「今しがた、闇鬼を差し向けた。奴らは必ずその闇鬼を倒すべく動き出す」
「委細承知」
そういうと風魔はその場から姿を消した。
「吉宗め。必ずその息の根を止めてくれる」
男がまた静かに念を唱え始めた。
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