セックス人事 第一話

4/40
566人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「もう、ずっとしてない。。」ひと時の別れを惜しむように、さらにギュッと抱き締めた。 「じゃあ、おやすみ」 といいながら、ドアを閉めホテルのエレベーターへと急いだ。 「やべ!終電ギリだ!」とつぶやきつつ、LINEで 「今から帰ります。遅くなってゴメン」と、ウサギが謝っているスタンプも共に送った。 妻から即レス。 「もう、寝かけてたのにい!!」怒りの熊スタンプ。 「音立てないで帰ってきてね。彩音も起きちゃうから。」 「明日も朝、早いんだー。急遽会議で(泣)7時には家出ないと」 「えーーー!!また、保育園の送り私?」怒りの熊スタンプ2連続。 「ごめんなさーーーーーい」謝りウサギ3連続。 既読になり、10分が過ぎた。ようやく寝たようだ。明日の朝も伝えられたし、一安心。 今日は、美雪と恵比寿のイースタンホテルの台湾小皿料理を食べ、そのあと、ツインルームで1週間遅れの美雪の28歳の誕生日を祝った。普段のホテルよりグレードが高い。 月一回のペースで会っているいつものデートは、ちょっとランクが落ちるビジネスホテルだ。なるべくラブホテルには行かないようにしている。俺のささやかなプライドだろうか。  しかし、泊まるほどの勇気もなく、12時には家路に着く。美雪は快いはずもないだろうが、笑顔で送ってくれる。淡白なのか、わからないがこの3年、彼女から見れば発展性のない関係をズルズル続けているにもかかわらず、一度も、家庭についての文句は聞いた ことがない。むしろ、家庭や子供の愚痴や出来事を、我が事のように聞いてくれる。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!