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もともと
感情をよく表に出すタカシではないが
こんなに
冷淡な表情は初めて見る
私の問いかけに
タカシは答えない
「タカシく~ん!」
鼻にかかったような
甘ったるい声を出した女が
近づいてきたタクシーの後部座席から
顔を覗かせる
まだ20歳くらいに見えるその女は
タクシーから降りて
私たちに近づいてきた
「話は終わった?
さっ
早くしないと飛行機に乗り遅れちゃう
行きましょ」
フワフワとパーマのかかった栗色の髪に
フリフリのレースの洋服を着て
付けまつげをしっかりつけたバッチリメイク
甘いコロンの臭いがする
彼女は
私に
勝ち誇った顔つきをして
タカシの腕を組んで促す
「ああ」
タカシはそう彼女に答えて
歩き出した
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