21人が本棚に入れています
本棚に追加
一日だけってことは、楽しかった頃に戻るのは無理だな――。
俺の頭には、さっきの夢の内容が浮かんでいた。
夢の最後に現れた高校時代の恋人とは、約一年間交際していた。同級生で、彼女とは高校に入学してから知り合ったのだった。
しかし受験が終わり、二人は進路の関係から、互いに故郷の地を離れることになった。
早い話、それが理由で別れたのだ。
遠距離恋愛は実らないもの、という固定観念がお互いにあったのだと思う。
それほど揉めることもなく、あっさりと二人はサヨナラした。
この歳になってみると、それくらいの理由であっけなくと破局できるのは幸せだったな、と思ってしまう。
おそらくこれから出会う女性とは、常に結婚を意識した交際になっていくのだろうと、今の俺は考えているからだ。
しかも一から人間関係を作り上げていかなくてはならない。それを考えただけで、少々億劫な気持ちになってしまうのだった。
そんなことを考えていること自体、少し滑稽なのかもしれなかった。
俺にはまだ、千里という形ばかりの恋人がいるのだから――。
それから、三十分くらいはだらだらと無駄に時間を過ごし、インスタントラーメンを昼食とした。
済ませると、時刻は十二時過ぎになった。
最初のコメントを投稿しよう!