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ダメだダメだと俺は自制心を働かせた。そんな場所に待機していて、捕まるなどという失態はごめんだった。 仮に犯罪者になって逮捕されるとしても、性犯罪絡みだけは避けたいと思うのは、ある種男の本音だろう。 そして、まるでそんな不埒な俺を忠告するかのように、彼女たちも立ち上がって移動を始めた。 こんなものさ、と俺は思った。 しばらく無意味にフロアを巡回して、俺はゲームセンターを出ることにした。 ちょうどそのとき、さっきの非常階段に目がいった。 なんという偶然だろうか、例の三人組女子高生がまさにこれから階段を登ろうかというところだった。 俺は、まるで獣のように本能的に、人目も気にせず早足で移動を開始していた。しかし彼女たちもぐんぐんと上がっていく。 さらに足は早まった。 あの位置に着き、目線だけを上に向け、俺は手摺りの下へ素早く身を寄せた。 だが、ぎりぎりのところで彼女たちは二階に姿を消していた。 舌打ちしたい気持ちと、自分への情けなさのような気持ちが込み上げてきた。 だが、しかし――。 ここでおれの心に、黒いたくらみが浮かんできたのだった。
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