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そんな俺だったが、会が始まると次第に気分が乗っていった。男の性なのかもしれない。
解散のときには、全員でお決まりの連絡先交換をし、その中で最後まで連絡を取り合っていたのが千里だった。
千里は丸顔の美人だ。そのおかげか、茶色のショートボブがよく似合っていた。
俺たちのメールのやり取りは弾んだ。やがて、俺は彼女からデートに誘われることとなる。
当時独り身だった俺に、彼女を拒む理由など何ひとつとしてなかった。
悪い表現をすると、単純に女の身体というものに餓えていただけ、ともいえたかもしれない。
ほどなくして、二人の関係は男女の関係へと発展した。
三度目のデートの日にはキスをかわし、当時彼女が一人暮らしをしていたアパートに転がりこんだ。
そして、出会って二ヶ月が過ぎた頃には、この汚い2LDKでの同棲が始まったわけだ。
家賃は折半で、初めは分担して家事をしてきた。
それがやがて、多忙を理由にサボるようになった。どちらがということはなく、互いにそうだった。
それなのに、そのうち事態は言い争いに発展した。
性格からなのか、千里は自分の意見を曲げなかった。となれば、俺も簡単に引き下がるわけにはいかなかった。
最終的に、自分のものは自分で片付けるという取り決めで決着し、それ以来その話題を出すこともなくなった。
その些細な冷戦は今も続いている。
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