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そんなふうにして、今日まで半年を送ってきた。
今はお互いに、倦怠期の真っ只中であるという自覚がある。少なくとも俺はそうだ。
いやもしかすると、そう思いたい、というのが本音なのかもしれなかった。
崩壊への亀裂が絶え間なく近づいてきていることから、俺はただ目を背けたいだけなのだ。
千里の職業は看護師だ。この街で一、二を争う規模の総合病院で、彼女は働いている。
職業柄、頻繁に夜勤がシフトに入り、土曜日曜が出勤日だということもざらだ。
反対に、俺は土曜日曜が定休だ。
だから出会った頃から、デートの日程が折り合わないということが度々あった。初めはそれでも十分に成り立っていた。
俺のほうはというと、医療機器の営業を職としている。
会社は自社製品を開発もしているが、メーカーというよりは商社に近い企業である。
無論、彼女が勤める総合病院も、俺の守備範囲のうちだった。二人が仲良くなったのには、そういう理由もあったのだ。
そう、出会った頃は、互いを励まし合いながら頑張っていた。
それがいつからだろう、互いに無意味な不幸自慢を繰り広げ、どちらがより過酷な業務に携わっているかという言い争いを始めたのは。
もしも、そんな醜いやり取りが始まる前まで戻ることができたなら――。
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