第1話

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その人を知らない人はいなかった。 名前は、たかだこう。 漢字は、高田浩。 成績は常にトップ。 運動神経のよさでは運動部にも負けず劣らず。 容姿に至っては誰もが振り替えるほどの美形。 因みに告白は週に一回は必ずあるとか。 噂でしか知らなかった。 顔も見たことがないし接点もない。 でも、それでも直ぐに分かったんだ。 この人が高田先輩なんだって。 「大丈夫か?」 「えっ…と…。高田…先輩…?」 「俺の名前知ってるのか?どっかで会ってたか?」 「い…え…、そういう訳じゃ…ないですけど…」 意識が朦朧とする。 あー、格好悪いとこを見せてしまった。 だからといってどうと言うことも無いんだけど。 「おい…大丈夫か…?」 「ちょっ…と…、無理っぽい…です…ね…」 ははは、と乾いた笑いだけを絞り出して俺は意識を失った。 この体質はいつ治るんだろう。 陽に当たりすぎると肌が炎症して赤くなってしまう。 それを防ぐために長袖を着ると暑さで倒れる。 ああ、この虚弱体質はどうしたらいいのか。 強くなるには、誰にも迷惑をかけないためには、どうしたらいいのか。
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