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その人を知らない人はいなかった。
名前は、たかだこう。
漢字は、高田浩。
成績は常にトップ。
運動神経のよさでは運動部にも負けず劣らず。
容姿に至っては誰もが振り替えるほどの美形。
因みに告白は週に一回は必ずあるとか。
噂でしか知らなかった。
顔も見たことがないし接点もない。
でも、それでも直ぐに分かったんだ。
この人が高田先輩なんだって。
「大丈夫か?」
「えっ…と…。高田…先輩…?」
「俺の名前知ってるのか?どっかで会ってたか?」
「い…え…、そういう訳じゃ…ないですけど…」
意識が朦朧とする。
あー、格好悪いとこを見せてしまった。
だからといってどうと言うことも無いんだけど。
「おい…大丈夫か…?」
「ちょっ…と…、無理っぽい…です…ね…」
ははは、と乾いた笑いだけを絞り出して俺は意識を失った。
この体質はいつ治るんだろう。
陽に当たりすぎると肌が炎症して赤くなってしまう。
それを防ぐために長袖を着ると暑さで倒れる。
ああ、この虚弱体質はどうしたらいいのか。
強くなるには、誰にも迷惑をかけないためには、どうしたらいいのか。
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