夏休み

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「でも、もう、限界だ……もう、一緒にいられない」 「……なんで」 「っ辛いんだよっ……!!」  矢嶋の言葉を聞き終える前に、俺は矢嶋の身体を抱きしめていた。  矢嶋の身体は、小刻みに震えている。 「駄目だ、お前が俺のそばにいてくれないと、俺が困る」  俺は両腕に力をこめて、細い矢嶋の身体をぎゅうと抱きしめた。 「他は要らない、お前しか要らない、お前しか、要らない」 「水……」 「何処にも行くな、お前が居なくなったら俺は、息もできない」  わからない。なんていったらいいのか、わからない。  ただ、失うのだけは嫌だと思った。 「苦しくて、こんなところまで、迎えに来たんだ」  腕の力を緩め、矢嶋の顔を正面から見つめると、矢嶋は驚いた表情で、不安そうに俺を見つめ返した。 「だから、一緒に帰ろうぜ……お前と俺の家に」  矢嶋はぎゅっと目をつぶり、ぼたぼたと涙をこぼしながら、俺の首にしがみついた。  俺は矢嶋の首筋に鼻を埋め、そっとキスをした。  それは自分でも驚く程に自然で、この熱もなにもかもが、心から愛しく思えた。
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