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メモ書きを一枚残して、矢嶋が消えた。
「探さないでください……てか、探せっつー事だろコレ……」
そりゃわかる。
何年一緒にいると思ってんだ。
てか、わかれよと、いうことか。
俺を探せと。
「めんどくせーやつ……」
どーすっかな。
フローリングにゴロリと寝転び、ふと目に入ったものに手を伸ばす。
バイトの忘年会で当たったデジカメ。
何の画像が出てくるかなんて、わかってる。
この間初めて矢嶋にキスした時に、ふざけて撮ったんだ。
そう、やってしまった。
好奇心と、酒の勢いと、複雑な愛情、ごちゃ混ぜの中。
救いはとりあえず未遂で終わった事か。
あいつがあんまり嫌がるもんだからつい楽しくて動画まで撮って虐めてみたものの、まあすぐに消されるだろうと思っていた。
電源をいれてみれば、データは丸々そのまんま。
『やっ……みず、き』
裸にされた矢嶋は、虚ろな表情でカメラを見つめている。
『あっ、あっ、やだ、やだあっ……』
涙目で腰を揺らす矢嶋に、欲情した。
『みずき、やだ、撮らないでっ……』
唇を噛み締めながらやめてくれと懇願するくせに、矢嶋の下の口はひくつきながら俺の指をしっかりと加えていた。
気付けば勃ち上がっている自分のものに視線を落とし、耐え切れずジーンズをくつろげる。
動画を停止し、高まりかけた心臓の音を抑えようと、無意識に大きく息を吐いた。
「めんどくせー……」
どこ行ったんだよお前。
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