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自転車が放置されていた場所の近くの川沿いにはいつも診察で回っていたホームレスの人達が暮らしていた。
矢島さんは診察する為にここに来たのではないかと西成署は推察しているが、ホームレスの人達はその日矢島さんを見ていないという。
それもそのはず、今から自殺しようという人間がわざわざ死の直前に診察などするだろうか?
矢島さん宅の鍵が開いていたというのも不可解で女性の独り暮らしで鍵をかけないのはそれこそ自殺行為である。
また、矢島さんのアパートのポストが何者かに壊されていた形跡があり、このポストに重要な証拠が残っていた可能性もある。
(例えば矢島さん宛に書いた手紙等)
前述した指紋やホコリがない部屋について、第三者がそれをしたとなると目的は何だったのだろう?
考えられるのは三つ。
一つ目はその人物は矢島さんと顔見知りで、事件以前にも部屋を訪れており、その時についた指紋や落ちた毛髪等を発見されないように部屋を隅々まで掃除した。
二つ目は矢島さん宅で何か探し物をしていてその後部屋についた指紋等を消す為掃除した。
三つ目は敢えて何かあったかのように見せかけるためわざと指紋やホコリを拭き取った。
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