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気になる文面は
『出会えたことを心から感謝しています。釜(釜ヶ崎)のおじさん達の為に元気で長生きして下さい。』
だった。
当初自殺と断定していた西成署の事だからこの絵ハガキが証拠品として回収、筆跡鑑定したかどうかは疑問だが、この絵ハガキを仮に本人が書いた物だと仮定しよう。
この『出会えたことを心から感謝しています。』の部分。
確かに捉え方によっては恋人に対して書く文面のような気はする。
しかし自殺前に恋人に送る文面にしては物足りない気がするのである。
恋人同士だったのであれば例えば『愛しています』や『ごめんなさい』等の言葉が書かれていてもいいし、何故手紙や封書ではなく絵ハガキなのか納得がいかない。
『釜のおじさん達の為に』の部分をみると『釜ヶ崎の日雇い労働者、路上生活者の人達の為に頑張って下さい』という風に読み取れる。
ということは矢島さんと共に訪問診療などを手伝った事があるということなのだろうか?
それとも単純に釜ヶ崎の人達と広域に渡って知り合いだった為『皆で頑張ってね』の意味合いを込めて書いたのだろうか?
『元気で長生きして下さい。』
この文面だけでは全員が該当する可能性もあるが『長生き』と書いてあるので年配者の人に送ったと推測しよう。
ここで問題なのは、この文面だけを見て『今から私は自殺をします。』という表現として捉える事が出来るかどうかである。
正直この文面だけでは捉え方次第で色んな解釈の仕方が出来てしまうと私は思う。
だが彼は『祥子さんの死は間違いなく自殺』と断言している。
周囲の人間が自殺はおかしいと異を唱えているその中で彼は『自殺だ』と断言しているのだ。
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